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毎年4月21日は「番条町のお大師さん」の日 [02 トピックス]

 4月21日、奈良県大和郡山市番条(バンジョウ)町で、年に一度の「番条のお大師さん」という全国でも珍しい仏事が行われました。
 番条町の82軒(昔は88軒)は、普段は弘法大師の小さな座像をそれぞれ屋内の仏壇にまつっていますが、4月21日のお大師さんの命日には、その像を玄関先にお出ししてまつる「出開帳」をします。町内の北から順に家々をまわれば、一日で四国八十八カ所の札所巡りができるのです。

4月21日は番条町のお大師さんの日

 文政13年(1830)に番条村でコレラが流行し、村人が申し合わせて弘法大師を信仰することになりました。そしてある村人が四国八十八ヶ所を巡拝している時に、ある寺で本尊像をもらって帰り、庵をつくって奉納し、日夜信仰しはじめたのが始まりといわれています。
 そして、ある日ある家が荷車で引越ししようと村を出る橋のたもとまで来ました。いくら尻を叩いても荷車を牽く牛が動かなくなりました。「これはどうしたことだろう」と、荷車に積んであったお大師さんの厨子を降ろすと、とたんに牛が動き出したという話が町の人々に伝えられています。
 それ以来、村を離れるときには、かならずお大師さんをとなり近所や親戚に、または町のお寺に預けるようになりました。今日に至るまで、八十八体のお大師さんが一つも欠けることなく番条集落に残っているのです。

 今回、公認先達・歩き遍路の会の呼びかけで、全国から30人のお遍路さんが集まり、二十二番札所・平等寺副住職・谷口真梁様とともに読経しながら各家を参拝しました。兵庫県や大阪から参拝したお遍路さんは、「番条町の素晴らしい遍路文化に感動した。これからも毎年参拝したい」と申しておりました。


 番条町の各家では、朝から祭壇をつくり、高さ40cmほどの観音開きの厨子を置きます。花や餅が供えられ、ロウソクや線香とリンや鉦も置いてあります。厨子の中にはさらに小さな厨子があり、ここに高さ8cmほどのお大師さんがまつられています。厨子の扉には、四国八十八ヶ所霊場各札所の番号、寺の名、ご詠歌が記されており、小振りなお膳が据えられています。皮のついたままの竹の子をお膳の真ん中に立て、椎茸、高野豆腐、蕗などの煮物やご飯、吸い物に佃煮など、その家ごとのやり方で調製されます。
 お供えの白餅やヨモギ餅は、参った人が「お接待」として頂戴します。ある家の奥さんは「草もちを300個ほど用意しました。お接待ですべて差し上げられて嬉しかった。よくお参りくださいました」と笑顔で話していました。
 番条地区は現在82軒であるため、一軒で複数のお大師さんをお祀りする所もあります。ふだんは各家の仏壇にまつられるお大師さんですが、年に一度開帳され、巡る人にはお接待をする。貴重な番条のお大師さん文化を末永く継承してほしいと思います。(山下)

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